今月のe-dream-s通信


★☆e-dream-s通信ブログ☆★

これまで毎号のe-dream-s通信から1つだけ原稿を選んでe-dream-s通信のエッセイとして掲載してきましたが、さらに進化させ、毎号のエッセイをすべて(巻頭言や告知などを除く)ブログの形で掲載することにしました。読者の皆様はぜひ、コメントをお寄せください。

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 それに伴い、このページでは、2009年9月号より、中川副代表理事による巻頭言(全体まとめも兼ねて)を掲載いたします。合わせて、お楽しみください。


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“Education for …” 私たちができること

中川房代


NPO関連のメーリングリストに登録していると、毎日たくさんのイベントの案内メールが送られてくる。人々が少しでも生きやすく、幸せに暮すための営みである。全国各地で多種多様な活動をしている人たちがたくさんいて、それぞれに頑張っていると思うと、元気が湧いてくる。行ってみたいなと思うイベントもあるが、遠隔地だったり、勤務時間中だったりと、実際に参加するのはなかなか難しい。

そんな中、1月30日に東京で行われた「世界寺子屋運動検討会議『寺子屋の未来を考えよう!』」[主催:(社)日本ユネスコ協会連盟]というイベントに参加した。「日本寺子屋運動とは何か」ということは後述するが、この運動が今年20周年を迎えてその現状と今後の課題を論議する趣旨のイベントで、現在その運動を展開している5カ国(ラオス、インド、ネパール、アフガニスタン、カンボジア)の代表も来日してプレゼンテーションを行う、と聞いて興味を持ったからだ。

1月の理事会で、カンボジアの女子生徒・学生を対象にした英語教育の奨学金制度を創設しようという論議をした。その中で「カンボジアの教育の現状はどうなのか?」「中学校に通える子どもより小学校にさえ通えない子どもを奨学金の対象にするのはどうだろうか?」というような意見もあった。私たちは前に進んでいく中で、もっと様々なことを知り、情報を集める努力が要ると思う。今回はスケジュール的にも条件が合い、無料ということもあり、思い切って参加することにした。

少し長くなるかもしれないが、その報告を書きたい。

UNESCO(United Nations Education, Science, and Cultural Organization) は国連の組織ではあるが、パンフレットによると、主催者の「日本ユネスコ協会連盟」は、UNESCOや日本ユネスコ国内委員会と協力しながらも独立した民間組織として活動しており、「日本寺子屋運動1」は「国際識字年」の前年の1989年から日本の連盟が独自に行っている活動の1つなのだそうだ。

「Education for All = すべての人に教育を!」

世界の人口68億人中、『働かなければならない、学校が近くにないなどの理由で、学校に行けない子どもが7,500万人。そして学校に行けずに大人になり、文字の読み書きができない人が1億7,600万人もいます。そのうち3分の2は女性です 2。』

報告によれば「世界寺子屋運動」は、学校に行けない子どもや読み書きのできない人たちへの「学びの場=寺子屋」を通して、教育の機会を提供する運動で、この20年間に43カ国1地域で、442のプロジェクトが実施され、124万人が世界の寺子屋で学んだということである。特に強調されていたのは、この「寺子屋」が識字の支援にとどまらず、生活技術の授業、職業訓練、教材作り、教員・寺子屋運営者の研修へと活動を広げ、さらにその村や地域を活性化させる「Community Learning Center」の役割を担ってきていること、支援する人・される人という構図ではなく、最初の段階からその村や地域の人たちも巻き込む形で実施され、徐々に地域の人たちが自分たちで運営できるような手法をとっていることだった。特に、女性の積極的な参加が顕著で、女性たちが学びによって元気になり、家庭や村・地域が活性化してきたことも報告された。

イベントは、始めにUNESCO生涯学習研究所アダマ・ウワン所長(マリ出身)の基調講演、世界寺子屋運動20周年委員会・千葉杲弘委員長の提言があり、後半にはラオス、インド、ネパール、アフガニスタン、カンボジアの各代表からの発表があった。

 


写真 左:千葉委員長、右:アダマ所長

イベントの後半は、5カ国代表のプレゼンテーション

 

私がこのイベントに参加した動機の1つは、カンボジア代表の話を聞きたいからだったので、チョップ・オウセさん(日本ユネス協会連盟カンボジア事務所・プロジェクトアドバイザー)の発表について少し書きたい。彼女は今回唯一の女性スピーカー。若い頃は小学校の教員をしていたが、ポルポト政権のもとで、職も家族も失った。その後、カンボジアの教育のために、教育省シェムリアップ州教育局などで働き、現在は日本ユネスコ協会連盟カンボジア事務所で寺子屋運動を進めているという経歴の持ち主だ。

 

 

現在はシェムリアップ州9地域に寺子屋ができ、識字教室は20地域で600名が参加、寺子屋を核とする多目的な学習センターの機能を持つコミュニティーセンターとして定着してきているそうだ。また、運営委員会を強化し、地域組織、行政組織、大学生組織などへの啓蒙活動や研修を進めてきており、コミュニティーセンターの運営の自立・継続化に大きく前進している様子が語られた。特にコミュニティーセンターで学んだ地域の女性たちの進歩は目まぐるしく、地域への貢献、人材育成にも大きな役割を果たしている、とのことであった。その中で、研修を受けた大学生グループがその後、寺子屋=コミュニティーセンターで、ボランティアで英語の授業の講師をするようになった、との報告もあった。

 

発表するカンボジアのチョップ・オウセさん
(日本ユネス協会連盟カンボジア事務所・プロジェクトアドバイザー)

 

他には、アフガニスタン代表の報告が印象的だった。昨年、寺子屋が完成し識字教室や職業訓練が開始されたこと、平和を築くためにもコミュニティーセンター作りを進めていきたいとの決意などが熱く語られた。

このユネスコ連盟の運動は、文字通り「Education for All」の精神に沿って、文字と職業訓練の機会を提供し、地域の活性化に向け順調に進んでいるように感じられた。現地政府からの協力や自立運営に向けての課題はあるものの、資金面では個人の寄付、企業からの寄付、書き損じはがきなどの収入で、毎年1億円程度の収入があり、運動も安定しているようだ。

さて、私たちは、彼らほど大きな組織も資金も持ち合わせていない。私たちは何を目指すのか?よりよい社会、よりよいEducationを目指すのは同じ。私たちは…for Allではなく、顔の見える場所で、できることから始めたい。Education for …の後には、私は、笑顔と具体的な名前が続けばいいなと思っている。

今回のイベントは、アダマ所長を始め、ラオス・インド・ネパール・アフガニスタン4カ国の代表は、すべて英語でのスピーチ、質疑応答も英語だった。(参加者は、受付でレシーバーを渡され、日本語/英語の同時通訳が付いた。)講演、提言、プレゼンテーションも、すべてパワーポイント使用、だった。国際協力の世界基準も、やはり、英語でのプレゼン!

2週間後、私たちは、英語でプレゼンをしに、カンボジアCamTESOL 2010に旅立つ! 頑張ってきます!


1=社団法人日本ユネスコ協会連盟の「ユネスコ世界寺子屋運動」についてはこちらを参照。

2=「みなさまからの募金による活動レポート2009」(社団法人 日本ユネスコ協会連盟)より


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